東日本大地震
気象庁は東日本大震災のマグニチュード(M)が世界観測史上4番目の9・0だったと明らかにした。これまでのM8・8から修正した。約22万人の犠牲者を出したインドネシア・スマトラ沖地震(04年)に匹敵する規模だ。また、3日間以内にM7以上の余震が発生する確率が70%以上だと発表した。余震で再び津波が起きる可能性もあり、救出、捜索活動が急がれる。
観測結果を再分析した結果、記録がある1900年以降で史上4番目の規模だったことが判明した。インド洋大津波を引き起こし、死者、行方不明者約22万人を出したスマトラ沖地震級だった。
気象庁は11日の地震発生直後、速報値をM7・9と発表。その後、「8・3」「8・4」「8・8」と修正を繰り返してきた。同庁が速報値を出すのは津波の規模を予想するためだが、速報値の「7・9」と今回の「9・0」とではエネルギーにして約45倍違う。速報値の算出ミスが被害を拡大させた可能性もあるが、同庁地震予知情報課は「最初からM9・0と分かっていれば警報の中身は変わったかもしれないが、大津波警報で大至急、安全な場所への避難を呼びかけており、今の技術レベルでは最善を尽くした」としている。
今後の余震活動については、13日午前10時から3日以内にM7以上が起きる確率は70%で、内陸や沿岸部で発生すると最大で震度6強になると予想。16日午前10時から3日間は50%という。同課の横田崇課長は会見で「余震の数と規模は過去の地震と比べても桁違いに大きい」と指摘した。
13日午後6時、同庁は北海道から九州にかけての太平洋側沿岸に出していた津波注意報を全面解除。しかし、大きな余震が起きれば、警報を発表するレベルの津波が発生する恐れがあるといい、救出、捜索活動が急がれる。
地震発生から3日目を迎え、甚大な被害が深刻さを増している。警察庁などによると、避難者は45万人超。岩手県陸前高田市によると、避難所には市の人口の約3分の1に当たる約8200人が避難。市内全域で携帯電話が全く通じず、行方不明の親族らを心配した人が避難所を捜し回る姿も見られた。孤立している人は同県釜石市や福島県相馬市など約40カ所で、少なくとも1万5000人に上るとみられる。
観測史上最大級の地震が残した爪痕は大きく、電力、ガス、水道のライフラインは、分断されたままの地域が大半だ。停電により病院で人工透析ができず、生命の危機にひんしている人もいる。東北電力は復旧作業を進めているが、供給再開の見通しは立っていない。
NTT東日本によると、岩手、宮城両県を中心に不通回線が加入電話で87万9500回線、光ファイバー通信サービス「フレッツ光」では47万5400回線に及び、通信障害も拡大した。
15日には真冬並みの強い寒気が東日本に吹き込むことが予想され、救出を待つ人たちは不安を募らせている。
▽マグニチュード 地震の規模を示す尺度。値が0・2増えるとエネルギーは約2倍、1・0増えると約30倍になる。複数の計算法があり、速報性に優れた地表を伝わる波から計算する「表面波マグニチュード」が使われることが多かったが、M8以上の巨大地震では精度が低くなるため、最近は震源断層のずれの量から計算する「モーメントマグニチュード」が使われるようになっている。地震を引き起こした断層の大きさを知る目安ともなる。
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