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June 29, 2008 - July 5, 2008

2008.07.04

金融庁、生保10社に改善命令 不払いに「体質改めよ」

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金融庁は、保険金不払い問題で国内大手8社と外資系2社の生命保険会社に業務改善命令を出した。不払いの件数や金額が多く、「いっそうの改善の必要あり」と判断した。各社は問題の温床となった特約の見直しに着手したが、顧客重視の本気度が問われるのはこれからだ。
 処分したのは日本、第一、明治安田、住友、大同、三井、富国、朝日の国内8社と、アメリカンファミリー、アリコジャパンの外資2社。金融庁は8月1日までに業務改善計画の提出を求め、その後も半年ごとに実施状況の報告を求める。この10社を含む不払いがあった全37社に業務改善に向けた取り組みと成果の公表を、生命保険協会に各社の請求案内事務のガイドラインづくりなども要請した。
 明治安田生命の松尾憲治社長は3日夕、記者団に対し「処分を厳粛に受け止め、再発防止に着実に努める。商品の改革も進めたい」と語った。日本生命など各社は経営責任を明確にするため、役員報酬の一部返上などの検討に入った。朝日生命が全契約者訪問に乗り出すなど再調査の動きも出てきた。
 生保の不払い問題は、05年2月の明治安田生命への業務停止命令で表面化、他社でも見つかった。金融庁は当初、生保業界の自主的な調査を見守る姿勢だったが、調査範囲を狭くしようとする動きなどがみられたことから、07年2月、全社にすべての保険商品について01~05年度の不払いの件数と金額を報告するよう保険業法に基づき命令した。
 問題が見つかった37社の最終報告では、不払いは約135万件、総額約973億円。このうち、保険金請求時の診断書の記載の見落としや見誤り、支払える可能性がある請求の案内漏れによる不払いの件数や金額が多く、契約者に大きな被害を与えた10社が処分の対象になった。
 処分にいたる過程では、金融庁と生保業界の綱引きもあった。支払いの請求案内漏れなどは保険契約の約款違反にはあたらないことから、業界側は「意図的な不払いではなく、行政処分にはなじまない」と主張。金融庁が調査の「明確な基準」を示さなかったことに対しても、業界側は不満を隠さなかった。
 これに対し金融庁は「契約者保護の観点から問題」との姿勢を貫き、10社に対する異例の一斉処分に踏み切った。渡辺金融相は「多くの利用者にイヤな思いをさせたのだから、保険業界は体質を改善してほしい。信頼回復を態度で示してほしい」と話した。
    ◇

 最初の不払い問題発覚から3年半。生保各社は「契約者の立場で改革を進めてきた」と口をそろえる。
 その一つが保険の商品内容などを説明する「約款」の見直しだ。難解な専門用語や法律用語、二重否定やただし書きが並ぶ分厚い冊子は、トラブルのもとになってきた。分かりやすい表現への書き換えや給付金を支払えないケースの一覧表、契約者一人一人に必要な部分を抜き出した「個人約款」の作成など、各社がそれぞれの試みを始めた。
 保険商品自体の改革もわずかながら動き出している。第一生命は6月から、死亡保障など主契約につく特約のうち、保障内容が類似したり、販売数が少なかったりした特約の募集を停止した。日本生命も3日、特約などの商品の見直しを始める方針を明らかにした。
 従来の生保の姿勢について、全国消費生活相談員協会常任理事の丹野美絵子さんは「保険料収入を増やすため、特約など複雑な商品がつくられた。顧客が自らの契約を理解できず、商品の比較もできない状況を放置してきた」と話す。
 ファイナンシャルプランナーの内藤真弓さんは生保の構造的問題は温存されていると指摘する。「各社がそれぞれ数万人もの営業職員を抱える事業モデルが高コスト構造を生んでいる。その結果、例えば公的保険で大半がカバーされて利用者には不要なはずの特約や保険商品でも、売らないと会社が存続しないという構造になっている」と話す。
 生保各社は業務改善命令を受け、「再発防止策の実効性をさらに高めていく」というコメントを相次いで出した。本当に契約者重視の姿勢に転換できるのか。根本的な取り組みが問われている。
Tky200807030492

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