元・巨人の150キロ右腕、うどんに全力投球

その道一筋に生きてきたスポーツ選手が若くして所属チームを解雇された後、どう生きるか。プロ野球の巨人で投手だった條辺剛さんは第二の人生に「うどん」を選んだ。球界を去って3年。かつて150キロを投げた右腕でめんを打つ。苦しい修業を経て、自分の店を開くところまでこぎつけた。
額に汗を浮かべ、自ら手打ちしためんをゆでる。客を迎える本番は間近だ。妻の出身地に近い、埼玉県ふじみ野市。東武東上線上福岡駅前に讃岐うどんの店「條辺」が開店する。
01年、長嶋巨人最後の年に中継ぎ投手として活躍。今は大リーガーとなった岡島秀樹投手とのリレーで名を売った。しかしその後は成績が振るわず、05年に戦力外通告を受けた。実働6年で111試合に登板、9勝13敗6セーブ、防御率4.58だった。
徳島県・阿南工高の出身。同郷の先輩で当時投手コーチだった野球解説者、水野雄仁さんの勧めもあり、ふるさとでもなじみの深い、讃岐うどんの職人を志した。
「本場の手打ちうどんにこだわりたい」と、高松市にある名店「なかにし」に弟子入り。毎朝午前4時から仕込み作業を行い、両腕に痛み止めの注射を打ちながら、めん棒で小麦粉を伸ばして修業を積んだ。
自分の店に掲げるのれんには、長嶋茂雄元監督が左手で店名を書いてくれた。「われわれも選手のセカンドキャリアに協力しなければ」と快く引き受けてくれた。
「協力してくださった多くの方に感謝したい」と條辺さん。150キロを投げた力と188センチ、103キロの体格を生かし「讃岐の売りでもあるコシの強いめんを味わってもらいたい。本場の味を関東の方に安く提供したい」。店を成功させ、元選手の第二の人生の可能性を示したいと思っている。
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