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2005.08.27

小沢一郎氏「自民の心臓をひと突きする」

0827今選挙戦で新党結成の“黒幕説”も流れるなど、常に政界再編のキーマンとして注目を集めている民主党・小沢一郎副代表がこのたび、スポーツ報知のインタビューに答え、「先頭に立って自民党の支持基盤に殴り込んでやる」と政権獲得への意気込みを語った。小沢氏はまた、「この2、3年が自分自身の政治の集大成」と告白。“剛腕”が、いよいよ「最終戦」のマウンドに上がる。
◆総選挙序盤戦の展開について
 ―小泉首相の造反組に対する“刺客攻撃”ばかりが注目され、民主党が埋没している感は否めない。
 「そこが小泉首相のけんか上手なところだ。人の目を引くパフォーマンスをバンバン出してくる。今の時点では、国民が小泉マジックに何となく乗ってしまっている。その点、民主党は受け身になって、うまくパンチを繰り出せない状況じゃないか」
 ―民主党はどう対抗すべきか。
 「パフォーマンスで競おうとしてもダメだね。相手は権力を持っているし、パフォーマンスのテクニックではかなわない。民主党が出すべきパンチは、きちんとした理念と政策だよ。正々堂々、政策論争に誘うことだ。米大統領選のような公開討論もひとつの手法だ。岡田(克也)君は代表なんだから、思い切って踏み込んで、論戦を挑めばいい。僕も『遠慮するな』と言っている。あの小泉首相と戦うには、必殺のKOパンチを出さないとね」
 ―必殺パンチとは?
 「郵政改革もそうだが、大事なことなのに、自民党が結論をいい加減にしているものが他にたくさんある。民主党がパシッとその結論を示せば、国民は小泉首相のパフォーマンスがくだらないものだと分かる。そういうふうに、おふざけと、本当のまじめな政治とを対比させて見せればいい」
 ―小泉首相はかなり前から、この時期に選挙をやるつもりで仕掛けていたのではないか。
 「僕もそう感じている。郵政法案が否決にならなくても、屁理屈(へりくつ)をつけて選挙をやったんじゃないか。最初から選挙をしたいと思い、造反議員をどうしてやろうかと、考えていたのではないか。月光仮面と悪役を、有名人を使うことによって、シンプルに対比させる。確かにうまい。話題になるでしょ。マスコミがそれに乗るということを分かり切ってやっている。その点はたいしたものよ」
◆小沢流選挙戦術
 ―今回の選挙は、民主党にとって政権交代の最大のチャンスでは。
 「の、はずなんだ。ただ、僕の年初の見方では、来年の9月に総裁任期切れで小泉政権が変わり、選挙は来年の暮れ以降か、再来年に衆参ダブルか。最初は、そういうスパンで考えていた。この2、3年が、自分自身の政治の集大成という考え方もあった。国民にとっても、本当に真剣に日本の進路を考える最後の機会だと考えていた」
 ―選挙が早まってしまったが。
 「もちろん、今回も全力でやる。今回、一発で政権を取れれば一番いい。仮に取れなかったとしても、本来目標に置いていた次の総選挙を含めた『最終戦』に全力を傾ける」
 ―小沢さん自身は、どんな戦術を考えているか。
 「僕の役割は、自民党の強い選挙区に殴り込むことだね。それも、1期生と新人の選挙区を中心に回る。自民党を支持してきた有権者を、民主党へ引っ張りはがしてくることができるのは、僕以外にいないだろう。敵は総理大臣という地位があり、近代兵器を装備しているが、こっちは竹槍。狙いすまして、心臓をひと突きという感じじゃないと倒せない。あえて戦の最前線に出て、敵の重厚な守りの所に先頭に立って乗り込んで、自民党の支持基盤を崩してやる」
◆選挙後の政界の展望
 ―新党日本、国民新党とのかかわりは。
 「新党日本の田中康夫知事については、新党発表のちょっと前に、知事周辺からそういう意向を聞いた。国民新党の綿貫(民輔)さんからは、特別な話はなかった」
 ―2つの新党についてどう考えるか。
 「基本的に、小さいグループをいっぱい作ってもダメだよ。足を引っ張り合うだけで、戦にならない。すぐに誰かリーダーが『反小泉』を呼びかけて大同団結していたら、大した勢力になっていたと思う。そうしたら、僕も話し合う余地はあった。権力者を倒すには、団結しないといけない。戦略として、僕は少し考え方が違っていた」
 ―選挙後の新党との連携の可能性は。
 「連携というほど大きくないからな(笑い)。ただ、小泉政治をストップさせようと思う人はみんな、その意向で首班指名に臨めばいい。岡田と書いてもいいよという人を、いらないという必要はない。まあ、自公と民主のどちらも過半数を取れないような、ちょぼちょぼの結果が出れば、それはそれで面白いね」
 ―どうなりますか?
 「合従連衡がどういう組み合わせになるかは、まだ分からない。いずれにせよ、結果が出てからのことだ。結果がちょぼちょぼになったら、またいらっしゃい(笑い)。その時に話すから」
 ―そうなれば、小沢さんの出番ですね。
 「ああ、それは当たり前だ。最大のチャンスだからね。ただ、今は単独過半数を目指して頑張る。あとは選挙の結果が出てからの話だよ」
 ◆小沢 一郎(おざわ・いちろう)1942年5月24日、岩手県水沢市生まれ。63歳。慶大経済学部卒。69年、27歳で自民党から衆院初当選。衆院議運委員長、国家公安委員長、自治相、党幹事長などを歴任。93年6月に自民党を離党、新生党を結成し代表幹事。94年12月、新進党を結成し幹事長に就任。95年12月、新進党党首に。98年1月、自由党を結成し党首に就任。03年9月、自由党が民主党と合併。現在は民主党副代表を務める。当選12回。

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